ピアノ

レッスン曲は希望も考慮した上で相談して決めていきますが大事な柱として、バッハ・練習曲・自由曲(古典派~近代までの作品)の三本立てが理想です。これらをバランス良くやる事によって、テクニックの基礎としての土台がきちっと作られますし、いざコンクール・オーディション・受験といった場合にも対応できる力を養えます。しかし、多忙な日常の中で効率良く、確実に難所を弾ける様にする為の練習方法もどんどん紹介していきます。

また、時にはチェンバロやクラヴィコードを使って当時の響きを体感しバッハや古典派のソナタを現代のピアノで弾く上でも「知らなきゃ絶対、損!」と、断言できる事をできる限りお伝えし、本当の意味で脱力して快活に弾けるアイデアをお伝えします。

かつてピアノを習っていたけど、再開するにあたって古いアンティーク・ピアノでレッスンを受けたい方・昔習った曲をもう一度きちんと弾ける様にしたい方・今度は別の新しい視点からレッスンを受け直してみたい方なども大歓迎です。

使用をする主なピアノは、1900年代初頭のプレイエル社製(パリ)のコンサート・グランドピアノ、及びエラール、ショパン所有同型のプレイエル製フォルテピアノです。

~使用楽器~

エラール(1890年頃)

マリー・アントワネットやナポレオンにもピアノを献上したフランス最古のピアノメーカー。1803年にエラールからピアノを贈呈されたベートーヴェンは熱情ソナタ、ヴァルトシュタインソナタ等を作曲。1822年に世界初の同音高速連打を可能にするダブルエスケープメント機構を開発。リストも愛用し、「ラ・カンパネッラ」などはエラールを想定して作曲されました。教室のエラールは1890年頃のドビュッシーの時代のもので印象派の絵画を思わせるような馥郁たる香りを持ち、ソフトペダルを踏むとそっとハープを弾くかのような澄んだ音色が特徴です。

プレイエル(1841年製)

1841年(日本では江戸時代後期の天保12年)にパリで製作され、ショパンが所有し、弟子達へレッスンを施したピアノと同型のピアノでまさに「ショパン存命中」のピアノです。音色は特に中音域~高音域にかけて「ハープのような」音色を併せ持つ独特なものです。ショパンが言うところの「撫でるように弾くと」その美質はもっと鮮明になります。それでいて幾分、メタリックで底光りするような風情ある音色で、シフトペダルを踏むと筆舌に尽くしがたい夢見るような音色を発します。キーが沈む深さも軽さも違います。アクションもエラールのダブルエスケープメント(現代のピアノの標準装備)に対抗するかのような「シングルエスケープメント」。これはブロードウッドから学び受け継いだ方式ですがエラールに比べて独特のタッチです。音量もエラールに比べると密やかで、ショパンは「ヴェールがかった銀色の輝きを帯びた音色」と評しています。

プレイエル(1900年代頃)

往年のショパン演奏の偉大な歴史的巨匠であり名教師、ショパン作品の楽譜校訂でも有名なアルフレッド・コルトー(1877〜1962)が1897年のデビュー以来、終生こよなく愛したプレイエルと同型のセミコンサートグランド。鋳造フレームを収めるケースの深さは他のメーカーよりも浅く、その分響きが即座に立ち上り、豊かに広がっていきます。

黒塗りの外観は現代のピアノとほぼ同じながら、譜面台はPLEYELのロゴと日本の扇子を組み合わせたデザインになっており、当時ヨーロッパ中で流行したジャポニズム(日本趣味)を彷彿とさせます。

ペダルには植物をあしらった透かし彫りが施され、こちらも19世紀末に席巻したアールヌーヴォーの様式になっています。鍵盤は黒檀と象牙で、大きな梵鐘のような深い低音、水晶のような煌めく中〜高音が特徴です。

ブロードウッド(1870年代製作)

世界最古にしてロンドンの王室御用達ピアノメーカー。ベートーヴェンやハイドンはその響きに魅了されてそれぞれ最後の3つのピアノソナタを一気に書き上げました。エラールやプレイエルとは全く異なる独特の音色です。教室所蔵の楽器はショパンが最晩年に ヴィクトリア女王の前で御前演奏した際に用いたブロードウッドとほぼ同タイプのイギリス式アクションのコンサートグランドピアノです。 また、晩年のショパンがエラールやプレイエルと共に所有したピアノでもあり、「ブロードウッドはロンドンのプレイエルである」と愛用していました。