【C.P.E バッハの誕生日に寄せて】※クラヴィコードの演奏動画付き

3月8日はJ.Sバッハの次男エマヌエル・バッハ(1714〜1788)の誕生日でした。
ピアノで演奏される彼の曲でまず名高いのは「ソルフェージェット Solfeggietto ハ短調」(エラールピアノによる演奏動画もご参照ください。)ですが、彼が最も好み得意としたクラヴィコードという鍵盤楽器を紹介させてください。

ピアノと同じ発音原理(ハンマーのかわりにタンジェントというマイナスドライバーの先端のような形状の金属片で打弦)をもつ打弦鍵盤楽器でピアノの先祖にあたります。

14世紀頃に発明され全欧に広まりましたが18世紀後半以降は特にドイツ語圏で熱狂的に演奏され、さらに北欧では19世紀半ばのショパンの時代まで好んで演奏されていました。
鍵盤楽器で唯一、ヴィブラートが作り出せる楽器でもあります。

晩年の1781年に作曲した「ジルバーマン・クラヴィーアへの別離のロンドAbshied vom Silbermannschen Clavier 」

ホ短調

35年間も愛用したジルバーマン製クラヴィコードを手放すことになり、その複雑な心境を音楽で表現した作品。
手放すに至った理由は諸説あり、
難聴になってしまった弟子のグロットゥス男爵に(特別に音量豊かな)ジルバーマン製のクラヴィコードを贈ったとも、エマヌエル自身が指の関節炎が日増しに進み、頻繁に弾くこともなくなったため思い切って手放した等々。
(ちなみにグロットゥス男爵の方は「クラヴィコードを受け取った喜び」という曲で返礼)

メランコリーな曲想は、3年前に30歳で亡くした長男(父と同じゼバスチャンと名付けられた)
への追慕が込められているのではないかとする見方もあります。

楽譜にはベーブンク(打鍵時に小刻みにキィに圧力を加えてヴィブラートを付ける)記号もいくつか付されています。

楽器は18世紀から19世紀初頭に活躍したスウェーデンの名工Lindholmによる1805年製の5オクターヴ半のクラヴィコードのレプリカです。

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