【フランス組曲5番のアルマンド冒頭について】

冒頭からしばらく3声、時に4声5声になったりしながら瞬間的に非常に魅惑的な和声が現れたりするのでそれを逃さず味わうように弾くことがこの5番のアルマンドの演奏をより素敵にするポイントかと思われます。

例えば3番のアルマンドは見かけだけはほぼ2声なので比較的弾きやすいのですが。

フランス組曲のみならずバッハの大半のアルマンドはリュートに端を発するいわゆるスティル・ブリゼ(分散様式)で書かれています。
リュートを柔らかく心のおもむくままに爪弾くような風情が求められます。

例えば2小節目の一拍目、右手の4個目のG音は打鍵したら離さずフィンガーペダルで延ばして2拍目の4個目のA音に繋がるようにチェンバロやクラヴィコードでは弾きますが、ピアノでもお勧めします😊
そうすることによって2拍目の表拍の夢見るような「7の和音」から裏拍の属7に移った瞬間にGが魅力的な倚音となって実に印象深く2拍目の最後のAに入ることになります。
そのニュアンスは2拍目のドシドラのドシドでほんのわずかに時間を取って「収めてから」ラに入ると出しやすいと思います。

そして冒頭の小節の3、4拍目の和声が変わらないこうしたところの16分音符の扱いが非常にデリケートですね。
ここだけ一瞬、拍節感が消失するような、ディミヌエンドの先へと聴覚が持っていかれてしまうような、不思議な魅力があります^^