先日、知人のピアノの先生から「インヴェンション5番の装飾音などイマイチどう弾いてよいか…。」とのお悩みが寄せられたので、まずは「論より証拠❗️」ではありませんが、ちょっとチェンバロで動画を撮って送って差し上げました。
動画を撮る際にちょっと思い悩むもの。
それはテンポ。
バッハの場合、それはどこかで聴いた誰かのCDや演奏などの影響というものに多かれ少なかれ左右されやすい側面があります。
ピアノではかなり速い演奏もあります。
自分にとって5番のテンポの決め手は…否、その前に今一度楽譜をよーく眺めてみると以前は見落としていたか、または無意識に感じていたのかも判然としませんが新たな発見は常にあるもの。
例えば20小節目の3拍目から21小節の1拍目にかけて3回出てくるラの音が最後の3回目で大きな強拍として小節の頭に入ってきて→それをゼクエンツとして3回繰り返していることにバッハの意図を感じますし、心揺さぶられます。
しかも21小節目から3小節間に渡って緩やかにソプラノがこれまた3度下降まで成していることにも。
そして驚くべきことに、25小節では今度はラーシードと3度上行❗️
(楽譜をお持ちのかたはぜひ見て欲しいです^^)
5番の中で最もエキサイティングなこの部分で、やはりあまり緩み切って(チェンバロでは比較的ゆったりめな演奏も多いのですが)は弾けないので自分は少し速めのテンポをとります。アーティキュレーションもしっかり入れて弾くことで細かい音符にも輝きと躍動感が出ます。
今までやたら3度とか3回とかにこだわっているように書きましたが、3という数字はバッハにとっては神への強い想いを託した数字であり(三位一体など)、フラット3つという調性もそれを象徴しているんです。
ついでに言うと変ホ長調という調性はフリーメーソンとの関わりが深い調とも言われ、クープランのクラヴサン曲にもそれを窺わせる作品がありますし、モーツァルトも会員だった1784年以降の変ホ長調曲も意図的使用を感じさせ、神秘的な情緒を表現してます。