(※以下は或る方へのアドバイスとして送った文面の一部です。)
私のチェンバロの生徒さんもちょうど今、このフランス組曲第4番をやってるところです。
ところでバッハの楽曲でこの4番のクーラント同様に三連符が基軸となっている癒しの有名曲といえば「主よ人の望みの喜びよ」ですね^^同じような雰囲気はパルティータ第一番のクーラントにもあります。
共通するものがあると感じています
この4番は変ホ長調という調性で書かれていますが、組曲系で使われているのは実はこの4番と初期の組曲一曲、チェロ組曲の4番のみ。
あとはインヴェンションとシンフォニアで一曲ずつ、平均律一巻と二巻で一曲ずつ、そして「プレリュード、フーガとアレグロ」というリュートの為に書かれた味わい深い傑作が一曲存在するのが全てです。
これらの中で平均律2巻のプレリュードと、リュート曲のプレリュードでは三連符が主軸となっています。しかもこの2曲は近い時期に作曲されたのもあり、平均律のほうもリュートのイメージがかなり反映されているように思われます。バッハがリュートに強く心寄せ始めた時期とも重なります。
(平均律一巻のプレリュードは三連符は出てきませんが、礼拝でのオルガンのコラールプレリュードのような静謐な出だしと、その後にまさにコラールのような中間部が現れ、宗教的情緒を湛えています。)
一方リュートは神、あるいは神の声を代弁するかのような象徴的意味合いも併せ持っている楽器。
変ホ長調には「三位一体」を象徴する3つのフラットを持つ調であり(後にはフリーメーソンの象徴する調にもなり。)、そこに充溢して流れる3連符と共にダブルの「3」をもって、なにか神がゆったりと諭すようなニュアンスをバッハは求めていたのではないかと私は思っています。
上記のバッハの変ホ長調の曲は全てそのような情緒をたたえているように感じられます。
また、バッハの作品全体を見ても変ホ長調たやすくは使わなかったことが見てとれます。
晩年のバッハはリュートに並々ならぬ関心と執着を持って「リュートチェンバロ」も作らせました。
このフランス組曲4番はこれらのなかでは初期の部類ですが、既にバッハの頭の中ではリュートの音で鳴っていたのではないかという推測もできます。(プレリュードでもあるアルマンドからして書法がリュートですし、サラバンドは明らかに”受難曲の重さ”があり、そしてカンタータや受難曲の演奏ではリュートが重要な役割も果たします。)
というわけで、私はバッハにおける変ホ長調とリュートという組み合わせに親和性を感じますし、このクーラントはやみくもに速く弾く必要はなく、上記のようなイメージで弾いてみるのも良いと思います^^